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トロンボーンと言えばボレロ 指揮:アンドレ・クリュイタンス 演奏:パリ音楽院管弦楽団 EMI CMS7691652 |
トロンボーン吹きでボレロを知らない人はいないでしょう。一度は挑戦し,難しくて挫折する曲ですね^^;;。そんなボレロだからこそ様々なCDをつい聴いてはソロの批評などするわけです。それぞれみなんさんが推薦するディスクもあるとは思いますが,私の一押しはこれ。 アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団の物です。これほど自由闊達に吹きながら雰囲気を醸し出す演奏を私は知りません。最近マズア指揮のニューヨーク・フィルの演奏を購入しましたが,ライブというせいもあるのかアレッシの演奏にちょっと不満を感じてしまいました(このCDについては別の機会に述べようと思います)。 また,この演奏はトロンボーンが巧いと言うだけでなく,クリュイタンスという「粋な指揮者」の粋としか言いようのないテンポ設定や,この当時のパリ音楽院管弦楽団だけが持つ各楽器のフランス独自の音色,奏法など様々な魅力が集結してできあがった名演です。 |
なんで!! トロンボーンが聴こえるんだ!? 指揮:クルト・マズア 演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック TELDEC 4509-90847-2 |
アマオケでよく取り上げられる曲に「ドボハチ」いわゆるドヴォルザークの交響曲第8番があります。比較的各楽器とも技巧的には易しいと言うことらしいのですが,トロンボーンには最後の最後に難関が待っています。それが今回のCDの目玉です。 そう!,最大に盛り上がってトランペットと共に下降するあの音型です。あのテンポの指示を守ってffで吹ける人は,かなりの使い手!。プロでもCDではトランペットにかき消され,聴こえた試しはありませんでした。 しかし,ここについに登場したのです。しかもトランペットをかき消して!! もちろんそれはあのヨセフ・アレッシ率いるニューヨーク・フィルハーモニックのトロンボーンセクションです。彼らの近年のCDはすべてトロンボーンセクションに関してははずれがありません。アレッシがニューヨークの首席になったのは1985年ですから,それ以降の録音簡単に言えば,メータ指揮の一連のテルデック録音と今の音楽監督マズアの一連の録音群では凄まじいまでのトロンボーンセクションの威力を聴くことが出来ます。同CD内のヤナーチェクのシンフォニエッタでもトラック7,楽章で言うと3楽章の2分10秒からなどは鳥肌もののハーモニーを聴かせてくれます。 余談ですが「完璧で凄いから聴いて下さいよ。」と言って聴かせた先輩には「でもここはスラーなんだよ。」ですと!出来るか!いやできない・・・(反語)。 TOPへ |
合ってる合ってる!! 指揮:シャルル・デュトワ 演奏:モントリオール交響楽団 LONDON FOOL-23018 (日本では契約の関係でDECCAではなく,LONDONとして出ています。) |
ピアノの音律は平均律,しかし歌などを歌ったりしたときにハモルのは,純正調の響きです。ドミソの和音の時は「ド」が根音,「ミ」が第3音,「ソ」が第5音になり,平均律と比べて,「ミ」が低め,「ソ」が高めにすることによって綺麗なハーモニー純正調の響きが生まれます。 残念ながら,美しいハーモニーは録音が難しいのが欠点です。特にCDになってから,陪音の成分がカットされることもあって独自の空気感を聴かせる録音にはなかなか出会えません。 そこで今回ご紹介のこのCDです。レーベルは英デッカ。 デッカは昔から「ハイファイ録音ならデッカ」と言われてきた録音の名レーベルです。生演奏を忠実に再現する方向には進まず,「この曲でこんな音が聴きたかった。」とか,「こんな音がこの録音には入っている。」とオーディオファンに語られる録音を目指しているのです。いわゆるデッカ・トーンと呼ばれるブルー系(これから想像されるのは「涼しさ」,「冷たさ」,などでしょうか)の音を響かせます。そしてまた,巧く音が合っている瞬間の響きも再現してくれる希有なレーベルです。 指揮者のデュトワは,オーケストラの音の混濁を嫌う指揮者で,ハーモニーが美しく響くことを優先します。そんな両者が幸運にも出会い,モントリオール交響楽団で数多くの名盤(フランス,ロシア物が中心でかつてのアンセルメとスイス・ロマンド管弦楽団のレパートリーを再現)を出しています。 さて,この「展覧会の絵」ですが,トロンボーンの見せ場は「カタコンブ」です。何回取り直したんでしょうか?こんなに完璧に合って良いのでしょうか?はじめて聴いたとき鳥肌が立ちました。自分が演奏会で演る事になったらこんなハーモニー,ダイナミクスで演奏したいものです。是非聴いて下さい。 TOPへ |