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2000.W 櫻花樹之下(桜の木の下) 歌いたいことを目一杯詰め込んでもまだ足りないと言う歌詞と唄。 兎に角言葉が溢れ出て,聴き手を詩の世界に引きずり込んでその世界を味あわせてくれる。 声の表現の幅が広く,呟くような独白調,悲しみを含んだ湿った声,叫びに近い喜怒哀楽を表現するパワー。 自信の声で最後の部分の錆の繰り返しに使う声のみの瞬間。 計算されていながら自然に聴こえてくるもしくは自然に歌いながら何らかの意味を含んで聴こえる唄。 全てに圧倒され30回は聴き,「桜の時」,「カブトムシ」に至っては100回は繰り返し聴いた。 全体的に感じるのは自分への自信をふとした瞬間にぐらつかせる作者の心境が見え隠れする危うさか。 またそこが良いのかもしれない。 「花火」 メルヘン調の世界にいきなり飛び移って考えもつかなかった比喩を見せるのがたまらなく,その次の瞬間には現実の断片が鮮やかに飛び込んでくる。 「愛の病」 ストレートに強烈な情熱がぶつけられる「恋焦がれる」とはまさにこういう状態を言うのか。 「桜の時」 自分の生き方(若さがおおいにある上での)を確立する上での人の評価とりわけ恋人からの評価で「世間の一般常識から外れているのでは無いか」という不安を,上手に肯定する形で評価してもらえたときのうれしさが爆発する。それと共に認めてくれた人の変わっていると感じられる部分への共感が芽生え,今までとは違った視線で物事を見られるようになった自分の歓びがいい。 「お薬」 自分の過ちが原因で終わった恋に,未練有る気持ちを無理矢理整理しようとする切なさがいい。途中で転調して急に目の前が開けた感じになるコード進行も心を晴らしたい気持ちに反していてにくい。 「二人の形」 憂いをいっぱいに含んだ声に心がつかまれる。心の叫びはサビに現れファルセットに音を飛ばしてグリッサンドとポルタメントの多用で泣き声にも似て唄い継がれるせつない気持ち。 「桃色」 自分より遙かに大人な彼への甘えと告白。次へ次へと転がる開放的なコード進行も合っている。 「悪口」 弱くなった時の自分に素直になりきれないながらも向かい合って見せた作品。アコースティックの伴奏で静かに唄われる。 ←購入したのは台湾版 曲名が漢字なのがなんかいい 「傷跡」 積極的な片思いからくる背伸びした行動が微笑ましく感じられる。 ジャズの名曲を思わせる伴奏からいきなり3拍子の早いワルツへの展開が見事。 「Power of Love」 幸せ幸せ,もう一つ幸せ。ごちそうさんでした。 ブラスセクション炸裂のスカバンド伴奏。 「カブトムシ」 告白する勇気が出ないほど好きになって極度の緊張の中にいながら,うまくいった後の愛し合う相手との事を不安に思う複雑な感情を表現する名曲。 愛する人と過ごす永遠に感じる時にいながら,その瞬間にふと訪れる失ってしまったときの深い悲しみへの想像が,季節の移り変わりと共に確実に流れる時を否定したいという誰しもが感じる事が,これほどの感覚で胸に迫ってくることはない。 曲の終わりも上昇する音型で思いが締めくくられる。 おすすめのメインへ |