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2000.Z

楽しい知の世界

脳を鍛える 立花隆 東大講義 人間の現在@   立花隆と言えば現在最高のジャーナリストであり,どん欲な知的好奇心の持ち主としても有名です。
 そんな彼が東京大学の教授職に就き,一般教養の講義を行うことになった。この本はその講義記録ではあるがそこは立花隆,そのままの収録では終わらない。
 本にするにあたって内容を見直すだけでなく大幅な加筆訂正を施しています。また自分で納得のいかない部分に関してはもう一度勉強し直すという気合いの入りよう。

 内容は彼自身の興味の赴くままであるが,教養学部での授業を意識して,大学で知的な興味を追求する時間の貴重さ,重要さを説くとともに,ある程度の興味を持たせ,「その後のはあなたが自分で調べてくださいよ。」と確信犯的に中途半端にしています。
 大学教育の危機を鋭くつく一方で,彼なりの方法での解決を試みてもいます。

 冒頭はこれから広大な知識科学に対する心構えと考え方の基本を。
 その後の章では文学から科学に至るまで様々な知の世界を紹介し,「知っているとこんなに面白い。」と知的欲求を煽ります。
 「ヨーロッパの知性」と呼ばれたヴァレリーに関しては,その著書「テスト氏との一夜」について,小林秀雄の評論に対して,自分の見解を示したりします。
 かと思えば,一転して「20世紀はテクノロジーの世紀」であるということを文系の学生にしっかりと認識させようと彼流の「これは常識であるから知らないと恥ずかしいぞ。」の語り口で20世紀の科学常識を説明して見せます。
 パラダイムの転換という話になると有名なニュートンの力学からアインシュタインの相対性理論の話を例に出しそれがどれほど人類の知に影響を与えているかを説明します。
 詳しくは読んでみて判る楽しさなので是非!
 読者に知的好奇心を喚起させようという講義及び本の目的は達成されているんではないでしょうか?
 第2巻もとても楽しみです。


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