今月のおすすめCDについて
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2000.[

ウィーン・フィルの魅力満載

 管楽器吹きや,リヒャルト・シュトラウスのファンならとっくに持っているはずの一枚が今月のお勧め!
 店の宣伝ではないがロンドンが総本店の「ご主人の声」では「夏の衝撃」(笑)大売り出しを実施中(全部日本語で書いてみると結構笑える)。R・シュトラウス ホルン協奏曲他 アンドレ・プレヴィン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ここのところ10何年かに発売されていた好評ディスクをまだ持っていない人にお手ごろな価格でご奉仕中。
 宣伝はこれくらいにして,今回はこのセールでようやく購入した(出来た)この1枚。

 R・シュトラウスのホルン協奏曲第1番および同第2番,オーボエ協奏曲,デュエット・コンチェルティーノ
 アンドレ・プレヴィン指揮
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ホルン:ラルス=ミヒャエル・ストランスキー(1番),
    ロナルド・ヤネツィク(2番),
 オーボエ:マルティン・ガブリエル
 クラリネット:ペーター・シュミードル
 ファゴット:ミヒャエル・ウェルバ

 ウィーンの作曲家でありウィーン国立歌劇場音楽監督及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を勤めた大作曲家R・シュトラウスは,作曲するときももちろん頭の中で鳴り響くオーケストラの音はウィーン・フィルの音であり,演奏様式であったに違いない。
 このCDはソリスト全てがウィーン・フィルの首席奏者で統一され,伴奏もウィーン・フィルなのである。もちろん録音場所もムジーク・フェラインの大ホール。

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 今から12年ちょっと前の1987年の11月,アンドレ・プレヴィンとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が素晴らしい企画をスタートさせた。
 レーベルはテラーク。
 LP時代にはエリック・カンゼル指揮のシンシナティ交響楽団によるチャイコフスキーの序曲「1812年」で当時再生不可能と言われたLPを発売(レコードには肉眼ではっきり判る木目のような溝があった(^^;; )し,話題を呼んだレーベルである。名エンジニアのジャック・レナーがその録音に全てを注ぎ,再生の限界に挑戦しているようであった。
 CDジャケットには,よく「再生に注意!ボリュームを上げ過ぎるとスピーカーを破損することがあります」等という文字が書かれ,ドキドキさせられたものである。
 その後前述のカンゼル指揮するシンシナティ・ポップスとの一連の企画アルバムが大ヒットを記録するも,やはりクラシックを録音するものの夢として「是非ヨーロッパの第一級のオーケストラとの録音を!」と思うのは当然のことで,その機会をうかがっていたのではないだろうか?
 そしてその機会はやってきた。R.シュトラウス アルプス交響曲 アンドレ・プレヴィン ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 テラークがヨーロッパ進出の第1弾として臨んだのは,指揮者にヨーロッパで経験を積んだアメリカ人のアンドレ・プレヴィンを据え,オーケストラにはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と申し分ない組み合わせ。しかもR・シュトラウスの管弦楽曲集である。
 録音に命を懸ける彼らの面目躍如と言ったところではないだろうか?
 一連の録音は,瞬く間に評判を呼び,売り上げも素晴らしいものだった。
 このシリーズを初めて聴いたのは「アルプス交響曲」だったが,中庸の美学を持つプレヴィンの抑制がききながらも要所を押さえた音楽と,ウィーン・フィルの美質を余すところなく捕らえた録音の素晴らしさにすっかり虜になったものである。R.シュトラウス 歌劇「薔薇の騎士」組曲 アンドレ・プレヴィン ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヨーロッパのレーベルも黙ってはいなかった。ウィーン・フィルと数多くの録音を行ったドイツの老舗ドイツ・グラモフォンは,プレヴィンとウィーン・フィルの組み合わせでテラークが契約しなかったR・シュトラウスのその他の管弦楽曲に目を付け,その後を継ぐような形で契約を交わした。

もう最高!の1枚。
歌劇「薔薇の騎士」組曲の爆発。

「サロメ」の艶やかさ!! これも是非
 
     

 このニュースをテラーク贔屓の私は少し苦々しく思ったわけだが,それでもこの組み合わせで録音されなかったR・シュトラウスの素晴らしい楽曲がリリースされるのは素晴らしいことだと感じた。
 出来ればすぐにでも手に入れたかったが,限られた金額の中で他にもっと欲しいものがあったことや,「この組み合わせでこのレーベルならばいつでも手に入れられる。」といった安心感からいつしか忘れていた。

 しかし,今回の「夏の衝撃」。
同じコンビで2枚の魅力的な録音が並んでいるのを見てもう購買意欲も2倍強に膨らんでしまい,ついにゲット。
 そのなかで今回お勧めするのは,ウィーン・フィルの若手ホルン奏者二人とベテラン名手が全てソリストを務める管楽器の協奏曲集。最もウィーン・フィルであることを感じさせる管楽器であるオーボエとホルンの協奏曲であることがますますこの録音の魅力と正当性(こういって良いものかは議論の余地があるかもしれないが)を感じさせてくれる。
演奏は「素晴らしい」の一言。この演奏家達がソリストとしても第一級であることを再認識させてくれる。
オーボエは少し太めの渋みのあるウィーン・オーボエの音色とソロのカンタービレが素晴らしい佳曲。
ホルンは「ホルン協奏曲と言えば」モーツァルトと並んで演奏される名曲だけに数多くの名演があるもののやはり本家本元(正確には1番はバイエルン宮廷歌劇場のホルン奏者であった父親とその奏するナチュラル・ホルンのために作曲されたものだからそうは言えないかもしれない),管から入った息が全て音になって吹き抜けてくるような太く豊かな音色とその抜群の音楽で音楽だけに集中できる時間を味合わせてくれた。


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