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2001.Z

 永遠のミュージカル映画の最高峰


サウンド オブ ミュージック プレミアム エディション
 何度見ても本当に素晴らしい。
 説明はいらない永遠のミュージカル映画の最高峰がついに発売された。

 最近の傾向として,DVD化されて発売される際には特典ディスクがつくことが上げられるが,この発売もご多分に漏れず2枚組で発売された。
 これがまた素晴らしい。
 本当の通にしか分からなかった制作の背景を種明かし的に当時の出演者を登場させて語らせる形式のドキュメンタリー(個々のキャスト,監督などが選ばれるまでのいきさつ,音楽,原作者との関わりなど)や,宣伝のために作られたテレビ番組などなど,興味は尽きない。

 本編に関しても今まで10回以上はテレビで見てきたはずだったが,今回はDVDのいつでもどこでも好きな場所を見られると言う便利な特性のおかげで,じっくりと鑑賞する事が出来たため,新たな発見があった。何せテレビは長くても2時間半程度だが,本編はなんと175分。つまり2時間55分なのだ。
 これまでテレビ放映ではカットされていた部分が実は重要なエピソードになっている場面もあり,是非見直してみて欲しいところだ。

 マリアと子供たちが遊び回るザルツブルグの観光映像と化したシーンも旅行への興味を掻き立ててくれる。1996年に弟の結婚式を行ったのが,「ドレミの歌」のシーンで登場するミラベル宮殿だったが,36年前の映像と全くシンクロするのには驚きすら感じたものだ。古い建物が良く保存されており,かつ町並みにも変化が少ない。また,あまり知られていないことだがモーツァルトの生家の改修や記念館の建設には日本からの多大な寄付が有ってようやく成し遂げられたものであるという。
サウンド・オブ・ミュージック オリジナル・サウンド・トラック
サウンド・オブ・ミュージック
オリジナル・サウンドトラック

 この映画を名作としているの一つにはジュリー・アンドリュースの圧倒的歌唱が上げられるだろう。全く隙がない。
 と書くと何か堅苦しく窮屈な感じがするのだが,そういう隙のなさではない。自由にのびのびと歌っているのだが完璧とも言える歌唱力とテクニックで破錠が無いという事なのだ。
 例えば,ブロードウェイでは存在しなかった映画だけのオリジナル曲「自信を持って」では,台詞から歌が始まり感情の起伏が見事に表現される。自信の無さを歌うことで吹き飛ばし意気揚々と昂揚した気分でトラップ家にたどり着くと門の所でまた意気消沈と言った様子がまるで一つの物語のように舞台さながらの雰囲気で歌われる。
 また,「私のお気に入り」でも子供たちのつたない歌唱すら一つのアクセサリーとして取り込み,全員を巻き込んで楽しまる。
 これほど単純な名曲はないと思われる「ドレミの歌」では,映像はザルツブルグの観光案内のようにザルツブルグの魅力を堪能させてくれるのだが,歌はそれだけ聴いても一つのエンターテイメントとなりうる。最後の最高音で締めるところはオペラのアリアのように聴き手を引きつける。これは楽譜にはなく,録音現場でのジュリーのアイディアだという。
 オリジナル・サウンド・トラックは,1965年に発売された時そのままの装丁とブックレットでオールド・ファンも納得だろう(見る人によっては何とも素っ気ないCD化にがっかりする人もいるかもしれない。画像は外国盤)。

サウンド・オブ・ミュージック エリック・カンゼル指揮 シンシナティ・ポップス
サウンド・オブ・ミュージック
エリック・カンゼル指揮
シンシナティ・ポップス

 そしてはからずもジュリーの実力の凄さを見せつける結果となった皮肉な例が,テラークが発売したサウンド・オブ・ミュージックのアルバムだ。
 アメリカで現在最高のポップス・オーケストラと言われるエリック・カンゼル指揮シンシナティ・ポップスをオーケストラに,マリア役にオペラ界の名歌手フレデリカ・フォン・シュターデを据えて臨んだこの録音は「確かに上手い。しかし・・・。」と言う感想になってしまう。
 ブロードウェイの舞台と映画の両方のすべての曲を収録し,資料としての価値は有るし,録音は1987年の最新デジタル録音であるものの,そこまでなのだ。
 決してけなしているわけではない。これだけ聴いても十分に満足する内容なのだが,相手が悪すぎる。
 このCDも機会が有れば是非聴いて欲しい。


  続きは後ほど。









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