今月のおすすめCDについて


 今月のおすすめ のメインへ
1999.Z
良いスピーカーは音楽の楽しみを深めます。
ビクター SX−V1X−M  ここではCDを取り上げる事にしていますが,初めて自分でスピーカーを購入し,その素晴らしさに感動したので其処に書くことにしました。
 そもそもこのスピーカーを買うきっかけになったのは,知人への自室の音楽環境を話したときの何気ない一言でした。今まで使っていたスピーカーがこんなに酷いものなんだと説明すると,「せっかく良い音楽を聴くんだから,良いスピーカーを買ったらいいじゃないの。」という一言が返ってきたのです。「!」。何かが閃きました。「そう言われれば今までスピーカーって買ったことないな。」「良いスピーカーってどんなもんだろう?」と思いました。
 こうなると後は予算との兼ね合いで購入できて今後10年は付き合える良いスピーカーを物色することにしました。一元音像を追求したユニフレームバッフル構造
 条件は住宅事情から小型でありながら小音量でもスケール感を損なわないものと決まりました。最近オーディオの世界からは遠ざかっていたので(といっても雑誌を覗くのを止めていただけで,オーディオおたくだった過去があるわけではないんですが(^^;;),漠然とコンパクトで値頃ながらずっと定評のあるVictorのSX−500シリーズあたりにしようと決めました。
 カタログのサイズでみると今使っているスピーカーとサイズ的にはほとんど変わりません。なかなか良いのですが,それだけでも他を見逃してしまって悔しい思いをするかもしれないので他の候補を探しておくことにしました。しかしながら,その値段の範囲では候補に挙げたスピーカーが圧倒的であり,他にライバルが見あたりません。サイズ的にさらにコンパクトながら良い音のするものが有るのでは?とも思いました。
 そんな頃友人のホ−ムページで,「高音から低音までまんべんなく出ることが大切,ぴかぴかのボディーはまさに工芸品。」などと書いてあった事を思い出し,予算的には厳しいものがあったにもかかわらずこちらも候補としてあげてみることにしました。ダイナミックバランスド・オブリコーン
 さて,実際の購入です。
  「私の行動範囲でスピーカーが試聴できる場所は?」と考えると石○電気が浮かびました。ここはかなりの数のスピーカーをマランツのパワーアンプで駆動しています。試聴では様々なスピーカーをセレクターで選択して聴かせる上,空間的にも雰囲気的にも自宅の空間とは違います。そんなことは百も承知の上で,スピーカーの持つだいたいの傾向を掴む事が出来るであろうと予想しました。
 そこで,自分のCDの中から次の6枚を試聴用として持っていきました。



トロンボーン四重奏 ウェストファーレントロンボーン四重奏団 @トロンボーン四重奏
 ウェストファーレントロンボーン四重奏団 MD+G L 3094                        
 トラック11 Christus factus est

 オンマイクでドイツ系トロンボーンの音色及び演奏ノイズが収録されている。ブルックナーでのハーモニーの倍音成分が再現されるか?
ホルスト 惑星 デュトワ モントリオール交響楽団 Aホルスト                                        
 惑星  デュトワ モントリオール交響楽団 DECCA 417−553−2
 (〜天王星5分10秒付近)

 あのパイプオルガンがどう聴こえるか?
ラ・スパガーナ Bパニアグワ
  la Spagna(BIS CD-163)
 31曲目 Furioso alla Spagnoula

 バロック以前の作曲家たちの有名なメロディーを何百種という古楽器でとっかえひっかえ演奏している楽しいアルバム。
 BISの鮮烈な録音もイケている。31曲目は冒頭に花火が弾けるような打楽器の一撃が忠実に再現されるか。
ピアノ ストーリーズ  久石 譲 C久石 譲
 Piano Stories (IXIA N32C−701)
 トラック5 The Windo Forest

 久石譲の映画音楽を自信の編曲,演奏で収録したアルバム。この曲は「となりのトトロ」のメインテーマで,序奏後のffで奏される低音部分のピアノの鳴り,演奏ノイズ(鍵盤を指が触れる,たたく)が再現されるか。
HE IS CHRISTMAS   TAKE6 DTAKE6
 HE IS CHRISTMAS
 トラック3 HARK!THE HERALD ANGELS SING

 6声のアカペラで歌われるクリスマス・ソングの定番。オンマイクで捉えたボーカルのハーモニー,ボリューム感が再現されるか?
サイレント・イブ 辛島美登里
E辛島美登里
 サイレント・イブ

 非常にオンマイクでとられたボーカル。サ行の発音がポイント。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 店についてスピーカーコーナーに行くと目的のVictor SX−500 Dolce があり,その人世代前のSXも有りました。 また,もう一つの目的SX-V1X-Mは残念ながら有りませんでした。こちらは一世代前のSX-V1A-Mがありました。
 早速Dolceから聴き始めました。なかなかいい感じで甘めの音でしたが,音像も甘めで「クリアーさが少ないのかな?」と感じました。店員さんにお願いし持ってきたCDをかけ,DolceとV1A-Mを切り替えて聴くことにしました。やはりサイズを超えてスピーカーの個性が際だってきます。
@のパイプオルガンは音像がしっかりと定位し,V1A-Mは必要以上に音が広がることもなくしっかりと聴かせます。
Aの四重奏ではマウスピースの中で唇が振動しているのが分かるような空気感が出ています。ここでも大味に聞こえてしまうDolceよりもV1A-Mに好感が持てました。
Bでは最初の強烈なアタック音がポイントでしたが,どちらも見事に再現しました。音場空間が広いためにDolceは広がりすぎて感じました。
Cではピアノの低音が見事に再現され,鍵盤を走る指の音も聴こえてきます。クリアーに聴かせたV1M-Aに惹かれました。
Dではハーモニーの美しさが素晴らしく,やはりまとまりを持って聴かせるV1M-Aに惹かれました。
Eは試聴しませんでした。

 ここまでで分かるとおり,心はすっかりV1M-Aです。予算も遙かにオーバーしていましたがここで我慢しても精神衛生上も良くありませんし,後悔もしたくありません。ただし実際に買いたいのはV1X-Mです。実際に聴いていないので少し不安でしたが,店員さんの「V1X-MはV1A-Mよりも少し明るめの音」という言葉を信じ,購入を決めました。
 待つこと3日,ついに家にSX-V1X-Mがやってきました。とるものもとりあえず机の上にセッティングし,最初に聴いたのは宇多田ヒカルのFirst Loveです。冒頭のピアノの質感,ギターのフレーズの美しさでしびれてしまいました。ボーカルが創られた雰囲気にふわっと乗って歌い出すと完全に曲の世界です。
 「良い買い物をしたなー。」と感動しながら,試聴に持っていったCDを取っ替え引っ替えかけ,買って良かったと再確認しました。


今月のおすすめ のメインへ