今月のおすすめCDについて
毎月購入するCDの中から今月の一押しを紹介!クラシックとは限りません。

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今月は一挙2ヶ月分アップ!!(7月もご覧ください。)

1999.
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これだから海賊版はやめられない!!

 海賊版といってもその性質から大きく二つに分類できます。一つはメジャーレーベルの古い音源(といってもステレオ以降70年代後半までが主流)を勝手にCDにして売るもの。もう一つは放送されたエアチェック音源,もしくは「必殺会場膝上隠し撮り(笑)」などのCD化するためではない通常の演奏を発売するものです。
 貧乏な学生時代は(って,いまでも貧乏ですが(^^;;)前記のものにも随分お世話になりました。しかし,演奏者が納得するしないは別にして,私が好きなのは後者のものです。その演奏会がどんない素晴らしく伝説といわれたものであってもそれを体験できるのはだいたい2,000人程度。文章で素晴らしいと書かれた演奏会を想像するだけでは悔しさが募るばかりです。
 そんな演奏会がもし記録されていたら・・・。そしてどこかのショップで密かに発売されていたとしたら・・・。そしてそれをたまたま見つけて買っていたら・・・。想像するだけで欲しくなってきはしないでしょうか?
 確かに「何じゃこりゃ」的な演奏・録音はままありました。「本当にこの人が演奏してるの?」などと思い出したらきりがありません。しかし演奏者に個性があれば「ああ,この指揮者だ!」と分かり,CDをセットしたが最後,最後まで聴き通してしまうようなそんなCDがたまに現れるのです。
 ちょっと前のチェリビダッケの一連のCDがそうでした。最近正規盤として発売されているものでたいていは駆逐されましたが,中には海賊版の方が優れている演奏もあり,そんなCDは二度と手に入らない分私の宝物です。 そろそろ本題に入りましょう。
 しばらく前に一部のCDショップで発売されていたFIRST CLASSICS レーベルのCDをいくつかまとめ買いしてありました。このレーベルもいかにも海賊版という匂いを漂わせながら石○電気のCDコーナーに置かれていました。手に取ってみるとほとんどがマーラー。しかもバーンスタインとテンシュテットです。「これは買わねば後悔するぞ。」と心の中で声がしましたが如何せんお金がありません。油断してとりあえずバーンスタインのマーラー2番,4番,5番を何とか買って,「良かったらまた買おう」と思い家に帰りました。
 早速,家でとりあえず聴いてみようと思い5番をかけました。 おやっと思ったときはもうすでにその凄まじい集中力の演奏に引き込まれ前5楽章を聴き通してしまいました。録音も合格点以上です。なんと言っても正規盤の同じウィーン・フィル盤では5楽章で急に集中力が途切れガッカリさせられていたのに(それまでの4楽章がすごい分)この演奏は5楽章でも素晴らしい集中力を見せていたのです。
 これは他のものも買わねばと決心しましたが,生憎また買いに行けたのは一週間後でそのときにはテンシュテットは売れてしまっていたのです。其処から何店CDショップを廻ったでしょうか?やっと新宿のヴァー○ンで手に入れました。
 こんな1枚1枚に魂が宿ったようなCDを片手間に聴くのはもったいないので時間がある時にじっくり聴こうと思っているうちに時間は流れ他のホームページでも異常な盛り上がりを見せる別格の1枚になっている事を知りました。
 この度ボーナスで良いスピーカーを買うことを思い立ち,友人のページで推薦してあったビクターのSX-V1X-M(ペア:175,000円)を購入しました。素晴らしい音に感動していたので「良い機会だから,伝説の名演とやらを所有していることだし聴こうじゃないの。」と時間を作って聴くことにしたのです。
 1楽章の冒頭,コントラバスのfffを聴いた瞬間その素晴らしい音,録音に圧倒されてしまいました。弦の唸り,激しいテンポ感,其処にはテンシュテットの最良の姿がありました。この演奏全体を貫く演奏の質と,録音のすべてが見えた気がしたと言っても過言ではありません。
 少しも弛むことなく突き進む音楽,抜群のセンスで詩を紡いでいく弦・管の奏者達。2枚組のCDであることがこんなにも歯痒く面倒に思えたのは久しぶりです。3楽章冒頭のティンパニーの一撃!! 皮の鳴りまでも捉え音楽を録音が語ります。不気味なワルツを効果的に舞い続く四楽章の深い歌声を一層効果的に演出します。しかし,『原光』のなんと深い歌声,,,。トランペット,オーボエの歌い回し,,,。
 最終楽章も静と動の入れ替わりが見事で,最後まで集中力が途切れる事が有りません。圧倒的な昂揚と共に終局を迎え音楽が終わりました。

 ・・・本当に素晴らしい時間でした。


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