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2002. IV 常識?非常識??
音楽を聴くとき,その構成や使用される楽器について思うことはあまりないのではないだろうか。 モーツアルトやベートーヴェンなど,すでに古典として聴き慣れた曲になればなるほどその傾向は強い。 近代の大編成のオーケストラになれば,特殊楽器や奇抜な組み合わせなどちょっと注意して聴けば聴こえてくる工夫も,もしかすると音楽にそれほど興味のない人にとってはどうでもいいことなのかもしれない。 しかし,近代の曲だけが新しい楽器や用法の試みをしていたわけではない。私達はモーツアルトやベートーヴェンが,当時最先端の作曲家であり,常に新たな音を模索し自身の曲に取り入れていたことを忘れがちである。 この本はトロンボーン吹きであり『パイパース』に連載を執筆する著者の,管楽器と作曲家の関係についての深い考察が非常に興味深い名著であると思う。 特に近代の一般的な楽器で演奏しづらい曲が,当時のオリジナル楽器であれば何の問題も無いという指摘はには納得させられる。 楽器や奏法は進化の過程で忘れられる部分も多いが,こういった「当時の常識」は常識であっただけに忘れられたときには記録が無くその理由を探し出すには苦労することになる。 この本を読んでから該当する曲をスコアを見ながら聴くことで,その楽曲に対する興味もさらに深まるだろう。 今月のおすすめのメインへ |